「否認、思考、決定的瞬間」の3段階の行動
大惨事に遭遇した達の体験と、そこから導き出される教訓をまとめた本「生き残る判断、生き残れない行動」〜大災害・テロの生存者たちの証言で判明〜で、著者のアマンダ・リプリーは、「レイク・ウォビゴン効果」という興味深い人の心理を引用しています。自分だけは危険な目にあわないと思い込んでいる、この勝手な思い込みのお陰でリスクのある環境でも暮らすことができる半面、退避行動の立ち遅れを招くのだ、と。
そして、大惨事に遭遇した際、私達が「否認、思考、決定的瞬間」の3段階の行動をとると述べています。「否認の段階」では、脳は正確な事態の把握を拒否し、何も起きていないと思い込ませ、行動の遅れにつながる。「思考の段階」では、過去の経験や訓練、集団内での位置づけなどで思考が変化し、それが生死を分ける。「決定的瞬間」の段階では、行動は麻痺を起こし、一時停止してしまうが、その後の脱出行動や救助行動に進むには日頃の訓練が必要と説かれており、モルガン・スタンレー社の警備主任レスコラの事例が紹介されています。 彼は、1993年の世界貿易センタービル爆破事件に遭遇し、次のテロが必ず発生すると考え、社員に退避訓練を8年間も強制した。彼の予想通り9.11テロが発生したが、同社の社員達は、訓練通りの退避行動をとり、ほぼ全員が救助されたのです。しかしレスコラ自身は、取り残された数人の社員を助けるためにビル内に戻り、帰らぬ人となりました。
本書には数多くの教訓が書かれていますが、日頃さまざまな経営リスクに直面しているビジネスマンや、災害対応の行政マンも必読だと感じ紹介しました。
報道と真実
3.11福島原発事故の直後、米国在住の子供から、こちらに避難してこないかとの連絡に「私達は大丈夫だから」と。色々な事実が明らかになった今考えると正に「レイク・ウォビゴン効果」に犯されていたなと思います。同時に、TVなどマスコミ報道に何らかの意図が働いていたとも感じています。あのときの「日本在住外国人の帰国ラッシュ」は、何日か後になって報道されました。
9月初め、台風12号で被災した和歌山県南部、被害の大きかった那智勝浦町〜新宮市は、5月に訪問したばかりの熊野三山の地(5月のトピックスに書いています)。今、生活している人々が最重要なのですが、世界遺産である熊野三山に関わる被害報道が9月中旬までありませんでした。私は、町の人々と同様に気になっていました。先の例も含めて何か意図的なものを感じるのは私だけでしょうか。
真実の公表を求めると共に、それに対する対応力をつける、これは自己責任。 要は、自分で判断・行動しなければダメ!ということですね。
2011.9.11
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