埴輪に驚きひとしお
東京国立博物館で行われている特別展「はにわ」を見てきました。10月のトピックス「かみつけの里」(高崎市)では静かにゆったりと埴輪に会いましたが、東京上野は多くの人だかりの中、入場制限も実施される混みようでした。
しかし、埴輪の歴史的変遷・意味づけなど、さすが国立博物館らしく見応えのある展示で、驚くことが多々ありました。
国宝 挂甲(けいこう)の武人
上の写真の左端、埴輪として初めて国宝となった「埴輪 挂甲の武人」です。
他のよく似た4体は群馬県内で出土した6世紀の埴輪で、各地(アメリカも含む)の博物館に所蔵されているものを今回、上野に集結させた仲間達です。
「挂甲」は、古代の鎧 (よろい) のひとつで「かけよろい」「うちかけよろい」とも呼ばれるもの。革や鉄の札(さね)を韋(かわ)紐や組緒でつづり合わせたもので、5世紀頃朝鮮から渡来した武具で、埴輪には精巧に再現されています。
埴輪 踊る人々
こちらの「踊る人々」、服や顔、しぐさなどを簡略化し、丸みをもつといった特徴があり、独特な「ゆるさ」を象徴していますが、実はこちらの方が時代的に新しく、表現の省略が進んだ姿だそうです。
埼玉県熊谷市で出土したものです。
王の政(まつりごと)に際して踊る姿であるとする説のほかに、近年は片手を挙げて馬の手綱(たづな)を曳(ひ)く姿であるとする説も有力になっているそうですが、私としては「踊っていて」欲しいですね。
「ゆるさ」と「やさしさ」、ユーモアを感じますから。
ユダヤ人?埴輪
天皇の系譜に連なる大王の古墳、前期は奈良盆地に築造され、中期に入ると大阪平野で作られるようになり、現在はそこが有名に(世界遺産にも)なっていますが、岩手県から鹿児島県まで広い範囲の王の古墳では個性的な埴輪が作られていたようです。
こちらの写真は「髭の武人埴輪」と呼ばれているものです。ここの展示(国立博物館)では触れていませんでしたが、田中英道氏(東北大学名誉教授)の著書に「発見!ユダヤ人埴輪の謎を解く」(勉誠出版)と「ユダヤ人埴輪があった! 日本史を変える30の新発見」(育鵬社)があり、「髭の武人」は「ユダヤ人」という説があります。
この「ユダヤ人埴輪」は、千葉県の芝山古墳から多く出土しています。5世紀ごろに日本にやってきた渡来人(秦氏)はもともと職能集団であり、高度な技術を持ち込んでいますが、この職能集団がユダヤ人なのでは、という見方があるのです。
今から1500年前の千葉に、こんな容貌の人たちがいたとは、驚きです。
特別展「はにわ」を見終えた「平成館」を出ると、こんな紅葉が待ち受けていました。
黄色の美しい「銀杏(いちょう)」と、煉瓦色の「メタセコイア」です。
この写真では分かりにくいですが、中程から下の枝は垂れ下がり〝枝垂れ(しだれ)銀杏〟になっているのです。こんな枝振りの銀杏は初めて見ました。
左側に写るのは、盛りは過ぎていますがメタセコイアの紅葉です。中生代から生きており「生きた化石」と呼ばれている植物です。中生代と言えば1億年以上も前の話ですね。
12月ですが「秋ですね~」。
これからも、ず~っと、ず~っと、毎年「日本の秋」が来てくれますように。