直感と直観

▲ 直感と直観

「チョッカン」に従う

国際コーチング連盟(ICF)が定めるコーチのコア・コンピテンシー「Embodies a Coaching Mindset (コーチングマインドを体現している)」の中に、「 Uses awareness of self and one’s intuition to benefit clients (自身の気づきとその場での直観を使ってクライアントに利益をもたらしている)」という項目があります(日本語訳はICF日本支部)。
コーチの基本として「チョッカンに従う」は、以前から学んでいたことなのですが、今ごろ引っかかりました。「チョッカン」って何だ?

直感と直観

「チョッカン」には「直感」と「直観」の漢字表現があります。Wikipedia や ChatGPT で調べてみると、「チョッカン」には異なる2つ概念があることは確かですが、その概念にどちらの漢字を使うか(使い分けている/いないも含め)には大きな差が見られました。要は人によって違っているのです。私は以下のように定義づけてみました。

A.直感(Gut feeling、Intuition)とは感覚的に物事を感じ取ることで、勘で答えるような日常会話での用語を示す。または本能的、即座に反応して湧き出してくるもの。

B.直観(Intuition)とは、本人が熟知している知の領域にあるもので、推論、類推など論理的操作を差し挟まず直接的で即時に選択する、意識下に蓄えられた本人の体験・経験や学びが元であり、意識せず引き出されるもの。

羽生善治九段の「直感力」

ちなみに、将棋の羽生善治九段の著書「直感力」には、
ある局面で「この手しか無い」と、ひらめく瞬間がある。けれど、こうした直感は、何も無いところから急に湧き出てる訳ではない。
積み重ねた思考の束から最善の手を導き出す訓練を日々行うことで、脳の回路が鍛えられた結果なのだ。
つまり直感とは、考え、模索し、努力したという経験があってこそ生まれるもの。
そして、直感を信じ、実行してこそ、初めて有効となる。
と書かれています。これは、正に私の定義するところの「直観」です。

コーチのチョッカン

上記、羽生九段以外にも、
マルコム・グラッドウェル;「最初の2秒のなんとなくが正しい」
ダニエル・カーネマン;「直感は信じるべき時と、信じるべきでない時が存在する。熟練したチェスプレイヤーがボードを見た時に感じる直感、あるいは既婚者が電話越しに夫や妻が発した単語一つで機嫌を推測するような直感は、多くの場合正しい」
ブルース・リー「燃えよドラゴン」“Don’t think! Feel.”
ヨーダ「スターウォーズ・エピソード1」“Feel, don’t think. Trust your instincts.”
面白いですね。

では、コーチに求められる「チョッカン」は何でしょう。
私の答は「直感であり直観である」です。
クライアントが発するノンバーバル(非言語)情報をキャッチする直感と、コーチ自身に湧き出る直観をクライアントのために活用するのが目的です。
危険なのは、確証バイアスの掛かった(必ず掛かる)直感や直観でクライアントを決めつけることです。
私は、浮かんだ直感や直観を「仮説」としてスタートさせるようにしています、自分にそう言い聞かせています。

「直感力」や「直観力」は、経験や学習を通して発展する能力だと思っていますので、まだ頑張ります!

話は変わりますが、AIが能力を上げていく中でも「直感力や共感力」は、人間の優位性が保たれ、特に女性が優位であるとも言われています。欧米では、対人支援の領域である「ピンクカラー」と呼ばれる職種の社会的価値が上がり、給与ベースの上昇も見られるそうです。(「ホワイトカラー」「ブルーカラー」に対して「ピンクカラー」と呼ばれています。遅れている日本。)
AIコーチングには負けられない私!!