これからの経営に欠かせない「PURPOSE(パーパス)」
〝この10年間で「パーパス」が経営の合い言葉になった〟とも書かれているこの本(Harvard Business Review PURPOSE)に昨年出合った私(遅れていますね)は、納得を繰り返しながら読み進めました。早く読み終えよう、最後まで早く見てみたいという思いにはならず、章、項目、頁ごとにじっくり落とし込みながら・・・、珍しいことです。
■ 経営者の仕事はパーパスを提唱し、実現すること
■ 組織の「存在意義をデザイン」する
■ 私たちは「こうありたい」を追求し続ける
今、研修やコーチングで関わっているクライアントさんや、私が共にいる組織と重ね合わせて自分自身を振り返りながらじっくりと・・・。
「正にこれだ!」と思うと同時に、実践の場に具体的にどう活かしていくかを考えながら読み終えました。
ミレニアル世代を惹きつけるパーパス
管理職研修のテーマは、人材育成、若手の育て方・コミュニケーションの取り方などが殆どですが、ここには生き方や価値観に明確な世代間ギャップが見られます。
勿論、性格的や育った環境により、一人ひとりに違いはありますが、2000年以降に成人を迎えたミレニアル世代(早い人は中間管理職に上り始めています)ですが、この世代と部長さん以上とは明確な違いがあります。部長さん達はその違いを、頭で理解しているのですが、気持ち(感情)が着いてこない。こうあらねばならないという関わり方を実践できないのが実情のようです。
その解決策が、「パーパスの理解」の先にあるように思いました。
組織で働くならば、自分の心に響くミッションや理念を掲げている組織に入りたいと思うのは、世代に限らず感じることでしょう。
しかし、“ 組織に共感するのであれば、その遂行に向かって組織のために身を粉にして働く ”とならないのがミレニアル世代です。
彼らは、その組織で自分が何を達成できるか、組織が目指すものと、自分が目指すものが重なり、そこに自分のストーリーが描けることが重要なのです。金銭的なインセンティブや肩書き以上に。
組織を舞台にして自己実現を図るために自分の志と組織の社会的存在意義、パーパスの一致を望んでいる世代に対し、「組織に貢献してこそ、それに見合う対価、地位が得られるのだ」は通用しないのです。
会社は社会の公器
上記の本と並行して読んだのが、こちらの本(パーパス「意義化」する経済とその先、岩嵜・佐々木著、(株)ニューズピックス)です。
この中には、
■ 過去の成功が未来の成功確率を上げるような時代にあっては、経験値の高さがリーダーに必須な要素の一つだった。しかし、過去の成功と未来が必ずしもリンクしないこれからの時代には、組織のメンバーを先導するようなタイプのリーダーではなく、チームメンバー個々人のパーパスを聴き出し、それを組織のパーパスと紐付ける事を手助けするようなタイプのリーダーシップが求められる。
■ 利益最大化の名のもとに地球環境に負担を寄せる、社員のウェルビーイングを犠牲にする、サプライチェーンに負荷をかける、このような在り方は劇的に変わって行くはずだ。
と述べられています。
「利益を生み出す」と「社会を良くする」は両立できるものであるとの記述を見たとき、私は「会社は社会の公器である」という言葉を思い出しました。これは、私が会社員時代に社長から教えられたものです。
これは正に「社員良し」「会社良し」「社会良し」の「三方良し」に他なりません。「社会良し」は「地球良し」の方が良いですかね。
このような考えを持った(チョト色の付いた)コーチとして生きていきます。