文学を好む私ではないのですが
テレビから私に飛び込んできた
「自分が信じたいこと」が正しい
「自分が感じていること」が真実だ
こう考え感じるのが人間の性。これが、いま分断の世界を生んでいる。
この人間に対して、小説家としてできることは何か? 無力さを感じ、・・・
それを乗り越え書き上げた作品。
この言葉は、ノーベル文学賞・受賞者 カズオ・イシグロさんが発しているものでした。
文学作品には興味の薄い私ですが、上記の言葉と共に、“先端科学”と“社会的格差”への問いを散りばめた作品と言うことで興味をそそられ入手。この本は、4月3日のトピックスで紹介した「社会心理学講義」とは違って、どんどん読み進めることができました。
人工親友(AF)クララを通して人間とは何か
この作品は、子どもの遊び相手として開発されたAIを搭載したロボットの「クララ」が、持ち主となった少女の家庭の秘密を知り、戸惑いながらも懸命に少女に尽くす姿を描いた物語で、人とAIの友情の在り方などを問いかけています。
語り手のクララは、10代の若者が大人になる手助けのために開発された「人工親友(AF)」。
物語の冒頭、クララは店頭に並び、これから自分が出ていく人間の世界を分かろうとします。そして孤独な人間たちに興味を持ち始めます。
人間の世界に入ったクララの大切な仕事は人の孤独を癒やすことなのです・・・
今回出会ったイシグロ作品、科学や格差について問いかける中で、そこに描かれている「人間らしさ」が印象的でした。
コーチという仕事がら、「人間理解」は大きなテーマで、行動科学や心理学の側面からの知識や経験を積んできましたが、文学作品を通しての「人間理解」も厚みを増すものだなと感じました。
この本そのものが、暖かい「お日さま」のようにも感じます。
現実の世界、散歩に出かければ、この写真のように暖かい日差しを受け、柔らかく輝く新緑とツツジの花に出会うことができました。
お日さまに輝く植物って「クララ」と同じみたいですね。